かけ算と概数(おおよその数)

今回は、休み明けトレーニングで確認していた、当教室でのかけ算のやり方の考え方からです。そろばんのかけ算のやり方にもいくつかありますが、「34×56」という場合を考えてみます。最初に比較のために「筆算」の場合を先に考えると、数字を上に34、下に56と縦に2つ並べて書いて、6×4から始めますね。24の2を小さく書き4を書き、次の6×3の18の8と小さく書いた2をたして、まず204、下に一つずらして今度は、5×4で20と5×3の15を同じようにやり170と(ひとつずれて)書いて二つをたし、1904となりますね。

ところが、2つ目の170をそのままずらさずに書いて、204と170をたして、374としてしまう生徒も見られます。この筆算の場合に、この計算の答えが何桁(ケタ)の数字になるかは全く考えなくてもできてしまうことから起きていることの一つとも言えますね。そもそもどのような数になるかは計算後にわかるだけというのはいかがなものでしょう。さて、そろばんの場合で、片落とし(片方の数字だけ置く)でそろばんの上にかけられる数の34だけを置く方法の場合には、同様に何桁の答えになるかは、そろばん上で計算が終わるまでわかりません。というよりもこの方法もそのようなことは考えなくてもよい計算方法になっています。間違わないように計算する方法としてはよいのですが、これでは、残念ながら概数把握という点では弱い計算方法となってしまっていますね。

それをより数感覚を高める方法の一つが、「 観察定位法 」という「最初にかけられる数とかける数の桁数を数えて何桁の答えになるかを想定してから計算する方法(当教室では10級からこの方法となります)です。(今回の例の「34×56」の場合は、前が2桁、後ろが2桁、よって、2+2で、4桁の答えになると想定して(実際のこたえは、1904ですので4桁ですよね)計算を始める方法です。これをマスターできると、式を見ただけで何桁の数になるかを把握でき、だいたいの数ならば、瞬時で計算できることになります。(だいたいの数は、数字の上の1桁あるいは2桁のかけ算で求めるからですね。) 例えば 「584×732 」などはどうでしょうか? 実際の答えは427488ですが、概数把握ならば、580×730(423400)あるいは、600×700(420000)でよいですね。答えの桁数は、3+3で6桁になると想定して、420000(42万)ぐらいとすぐにこの方法を知っていれば計算できます。

「 計算方法 」というのはいくつもありますが、このように「式と答えの関係(何と何を計算したらどうなる)を正しく理解する」ということもこれからは大事なことと考えています。電卓に数字を打ち込むだけ、筆算でただ計算するだけというのはいくら早く答えをだせたとしても数感覚的には弱く残念な状態ですね。将来使う数字というのは、正確性が必要とされる場合と、ざっくり概算を必要とされる場合がありますが、どちらも桁が違っては問題ですよね。「すぐに桁が正しいか否かがわかること」は大事なポイントになっているということです。売上予測や、販売計画などで一ケタ違う話では数字を使う意味はなくなりますね。

計算を、暗算や、計算機やそろばんなどを使ったとしても、その答えの「桁の正確性」はとても大事なものですね。この点ともう一つの算数や数学での「 式を立てられる能力 」の2つを磨くことが本来の計算力を磨くということと思いますが、なかなか難しいですね。以上が、ちょうど、休み明けで一斉に確認指導をしていて再確認していたことでした・・・。