そろばんを習いたいという体験者が今年も続いています。うれしいことです。ところで、なぜそろばんを習うのでしょうか。その中で、計算力をアップしたいという要望が多いことも事実です。
確かに、そろばんを習得すると計算力がアップすることは期待できます。しかし、「そろばんというツールを使っての計算力」というものと「紙の上や口頭での計算力」というのは少し異なります。日常では、後者のツールを使わない計算力(=暗算力)がより重要なものです。
「暗算力とは一定のスピードと正確性で加減乗除をツールを使わずにできる能力」のことです。(実際は、頭の中にイメージしたそろばんで計算することになります) そろばんを習うと大きな数字の加減乗除はツールとしての「そろばん」を使い、レベル(段・級)によって異なりますが小さな数字の加減乗除はツールを使わない「暗算(あんざん)」で可能になります。(例えば、日商の暗算2級レベルが、3桁の加算7口、2桁×2桁のかけざん、4桁÷2桁のわりざんです。これができれば小学校の算数は困らないのではと考えています)
さらに、「そろばん」というツールによって、数の大きさや大小に対する感覚や概数の感覚が基礎能力として磨かれていきます。昔の人の方がこういう感覚に優れていたのは、やはり「そろばん」というものが日常にあったからでしょうね。今、そろばんが見直されているのはこの点もあるものと思います。